【後工程とは】
足場工事の後には、多くの専門業者が現場に入ってきます。
塗装業者、外壁補修、板金、サイディング、防水工事、大工工事、電気・設備関係の職人など、多岐にわたります。
足場が不安定だったり、通りづらかったり、高さや配置が合っていなければ、後工程の人たちが安全に仕事できず、作業効率が下がってしまいます。
時にはクレームにつながり、現場の信頼を失うことにもなりかねません。
足場職人にとっての「良い仕事」とは、見た目がきれいなことや早く組めることだけではありません。
次に使う人が安心して作業できるかという視点を持ち、後工程のために何ができるかを常に考える姿勢が、真のプロフェッショナルです。
●具体的な配慮のポイント
《1. 動線の確保と安全対策の徹底》
・通路幅は適切か?資材の持ち運びがしやすいか?
・足元に段差や隙間がないか?
・手すり・巾木・安全ネットは適切に設置されているか?
特に塗装業者はローラーやスプレーを使って作業を行います。手元がブレたり、足場が揺れることで事故につながる可能性もあります。しっかりした組立、揺れやがたつきのない固定が、後工程の命を守るのです。
《2. 作業内容に応じた足場配置》
・外壁補修で必要な足元スペースは十分にあるか?
・配線・配管作業のために、特定の箇所に空間を残してあるか?
・高さ・位置・支柱の本数は、作業姿勢や安全帯の取り付けに無理がないか?
事前に施工業者と打ち合わせを行い、「どんな作業が、どこで、どのように行われるか」を把握した上で足場の設計をすることで、後工程の効率が格段に上がります。
《3. 現場の整理整頓・清掃》
・作業後に残材・工具・ごみが放置されていないか?
・足場の上に不要な資材が残っていないか?
・異物が落下する可能性がないか?
「安全で、気持ちよく使える状態」に整えておくことは、現場のマナーであり、信頼につながる重要な行動です。
《4. 情報共有と声かけ》
・特殊な仕様や制限がある場所は、きちんと伝えているか?
・他業者との接触や作業時間の重なりがないように調整されているか?
トラブルの多くは、「伝えていない」「聞いていない」ことが原因です。
現場内での声かけ・報連相(報告・連絡・相談)を習慣化し、チーム全体のスムーズな作業を支えます。
《5. 「後工程はお客様」という意識》
足場を使うのは、自分ではなく他の誰かです。
その誰かが、気持ちよく、安全に仕事ができるようにすること。
それは単なるサービスではなく、現場を一つのチームとして支える職人の気遣いです。
~5Sの徹底が、現場を支える~
足場工事の現場でも、「5S」は大きな意味を持ちます。
整理: 必要なものと不要なものを分け、使わない資材は持ち帰る
整頓: 資材を決まった場所に置き、作業しやすくする
清掃: 作業後は清掃を行い、足場上や周辺を清潔に保つ
清潔: ヘルメット・工具・作業着も常に清潔に
躾(しつけ): 決められたルールを守り、全員が同じ意識で動けるようにする
足場は「仮設」ですが、現場にとっては「日常的に使う作業空間」です。
5Sの徹底は、現場の印象や作業品質、安全性を根本から支えます。
~まとめ~
足場は、建物の完成とともに姿を消します。
けれども、その足場の上で、何人もの職人が仕事をし、何百時間もの作業が行われます。
その「作業の質」は、足場によって大きく左右されます。
だからこそ、私たちは「見えないところに価値を生む」という自覚を持ち、
後工程への配慮を欠かさない足場職人でありたいと考えています。
足場を組むことは、信頼を組み上げること。
これからも、私たちは「安全・品質・思いやり」で、現場の未来を足元から支えていきます。


